「あのさ」
(ビクッ!)振り返った…
「おかしいじゃん、なんでそんな後ろ歩いてんの?」
「え、でも…」
だって並んで歩いていいのか…
しょうがなく横に。
1メートルくらい離れて。
「連れてってって言ってるのに、後ろ歩くってさー」
だって、もう真っすぐ歩いてたら着くし。
わたしが気にすることじゃないかもだけど並んで歩くって。
気にしちゃう…
「もう、このまま真っすぐ歩…」
うわぁっ!
急に右腕を力強く掴まれて引き寄せられる。
「自転車の邪魔。横に広がって歩いたらダメって習わなかったかー?」
ひぃぃぃ、声がすぐ近くから聞こえてくる。
腕、掴まれてるし…って固まってたら、すぐ解放された。
「ご、ごめんさない…」少し顔上げたら、近すぎてすぐ距離をとる。
もう、腰が抜けそう…
「なんかぼーっとしてない?お店にいた時元気だったじゃん」
もういっぱい、いっぱい…
お店にいた時って言うけど、「店員」の鎧?お仕事の服脱いだ「素」のわたしには…
だって、大好きな青色の彼…
大野智が急に近すぎる。
だけど!だけど!!
わたし、しっかりして!
夢のようなこの時間、楽しんで堪能しなくちゃ💙
もったいないじゃん✴
足に力強い入ってないんだけど、精一杯の笑顔で✨
「この状況にびっくりしちゃって!だって、大野さんと歩くなんて、ただのケーキ屋の店員のわたしにはあり得ないですから!!」
「大野くん」とは言えなくて、「大野さん」
とか言っちゃった……