「次、摩耶の掬星台へ行って下さい」
海からまた山の方へ。
「また、山へ戻ります😊」
「ケーキ食べに行くのかと思ってた」
「だって、外で食べるのは神戸でも絶対無理です…その代わりにすっごく美味しいクッキー買ってあります😊」
到着。また運転手さんに駐車場で待っててもらうようにお願いして、車を降りて少し歩く。日が沈む前で人はまばら。数年前に駐車場がちゃんと出来て、展望台もキレイに整備されていつの間にか立派な観光地。
このベタな所に大野智を連れて来ちゃった。
「おー、すごい眺めじゃん!」
日本三大夜景のひとつがこの〈摩耶山掬星台〉からの夜景らしい。
他を見たことないけど。
「ここから見る夜景が日本三大夜景のひとつで1000万ドルの夜景って言われてます😊」
「へぇ~、1000万ドル?」
「段々と日が沈んで行くっていうか、空の色が変わって行って、徐々に街の灯りが灯って行くところを一緒に見たくて…」
「あっちの、丸く半円みたいなとこは?」
「左側の丸く広がってるのが大阪湾で、右側にさっきの橋が見えます」
「あれ、大阪なんだ。今度は釣り道具用意して、釣りだな」
「船釣りじゃなくてあんなデッキでいいんですか?」
「手軽にすぐ出来るじゃん」
それはそうだけど、今度もあるんだ…
また一緒に神戸に来ることがあるのかなぁ。
みるみるうちに空の色が変わってきた。
もうすぐ日が暮れる。
「昨日、絶対見つけてやるって思ってたのになー」
「そうだ!ツアーお疲れさまでした😊」
埋もれ気味の席だから探さなくていいって言ったのに。
「どうだった?」
「楽しくて楽しくて、大興奮✨」
「それだけ?」
「すごーく、カッコ良かったです💙」
これを待ってたみたいな顔してる😊
「コンサートの時しか見れないから。生であれは…」
何が?って感じでわたしを見る智くん。
「本気で歌ったり踊ったり😊」
「当たり前じゃん」
やっぱりね。そりゃそうだ。
そう思うと、昨日の姿とは別人なこの感じも、これはこれで💙
すっかり日が沈んで、目の前には大パノラマな夜景。
小さく見えてる、真正面の赤い細いのがポートタワーで、横の少し緑っていうか青っぽいのが神戸海洋博物館で、その横のがホテルオークラ。この3つが神戸の夜景の象徴みたいなやつ。って説明してみたけど、目の前が壮大すぎて…
これを一緒に見られる幸せ🍀
それだけでウルウルしそうなのに、
「誕生日に歌ってやるよ」
今、言った…?
歌うって言った?
「ん?聞いてるか?」
つないでる手をゆらゆら振ってくる。
声が出せず、“うん”て、うなずくだけのわたし。
そして、わたしの方へ顔を寄せて
「好きなの1曲だけだからな」
その言葉だけで、もう泣きそう…
好きなの1曲。
それなら、考えるまでもなくもう決まってる。
Take me faraway
わたしの大好きな曲を歌ってくれるの?
今、こうやって一緒にいるだけでも幸せなのに、まだまだ先にもたくさん幸せがある…きっと。
智くんと一緒に見た今日のこの景色、涙で滲んだ神戸の夜景を絶対忘れない😊
~おしまい~