ドキドキしたまま、ラインの未読を確認する。
え?あ…智くんからは何もない…
どうでもいい、カフェとかそんなshopからのラインだけ。
着信だけってどういうこと??
なんでラインには何も入ってないんだろ…
なんか違う意味でドキドキしてきた。
折り返し電話をすればいいってことかな?
いつもならラインに
「電話して」
とか入ってるのに。
とりあえず、着替えてお店を出ないとね。
歩きながら電話をかけてみた。
呼び出し音に変に緊張する。
「もしもし」
わわっ!すぐ出た。
「も、もしもし」
自分の声が少し緊張してるのがわかる。
「今日仕事だった?今どこ?」
「仕事です。今終わって歩いてます」
なんだろう…
なんか急いでるっていうか焦ってる感じ?
でもね、そんなことより、久しぶりの電話の声にうっとりしちゃう😊
「あ、じゃあそのままいつものコンビニ行く道歩いてきて」
「は、はい」
って言った途端切れた…
思わず立ち止まってスマホを見つめる。
あ…歩かなきゃ。
いつものコンビニで待ってるんじゃないの?なんて思いながら歩いてたら、後ろから来たタクシーがわたしを追い越した先で急に止まった。
そして後ろのドアが開いたと思ったら、そこから帽子を深く被った智くんが顔を出して、手でおいでおいでしてる…
あっ、智くんだ✴️ってポーってなってると、
「早く、早くっ」って。
ハッ!と一瞬我にかえって周りをキョロキョロ。
誰も見てないよね…
小走りにタクシーに駆け寄って乗り込む。
色んな感情と聞きたいことと言いたいことと、たくさんありすぎて。
しーんとしたタクシーの中のこの微妙な距離が余計に右半身を緊張させる。
いつもみたいに左手が出てくる様子もない…
あ、ラインだ…
って隣にいる智くんから!!
「行きたいとこっていうか、連れていきたいとこがあるから」
「はーい😊」
って打ったら、横で智くんがスマホ伏せたのがわかって、
それだけなんだ…
どこ行くかは教えてくれないのか。
わたしもスマホを閉じる。
と同時ぐらいに左手がそーっと出てきた💙
いつものように、右手をそーっと重ねる。
いつものように、優しくぎゅっと握ってくれた。
智くんの温度。
智くんの手の感触だ…
わたしもぎゅっと握り返す。