「最近やっと落ち着いて会話してくれるようになったよね」
へ?キョトンとするわたしに、
「最初の頃は、フワフワしてどこ見て誰としゃべってんだ。みたいな」
「だって、わたしの人生と交わるわけがない遠い世界の人だと思ってたのに、こうやって隣にいるなんてまだ信じられない感じで…」
「オレは、なかなか決められなかった。オレのファンだって分かって安心したのと同じくらいヤバいのかなって。ガンガン来られたらどうしょうとか」
「ガンガンですか?…」
大野くんが立ち上がったと思ったら、わたしの目の前にしゃがんだ。
下から、顔をのぞかれる感じで目をそらせられない。
ドキドキっていうより、固まるしかない状況。
でもこれは、ちゃんと聞かなきゃいけないんだってのは分かる。
「もし、。。ちゃんが目の前で寝てたら、多分寝顔をずっと眺めて、でも我慢出来なくなって髪の毛とか撫でるかな」
「。。ちゃんがオレにしたのと似たようなもんだな」
って、大野くんが笑う。
どうしていいか分からず、上手く笑えない。
すると、わたしの座ってる両側に大野くんがそれぞれの手をついた。
あ、挟まれた。逃げられないやつ…
自然と少し前のめりになるから、近くなる。
「。。ちゃん オレと付き合わない?」
時が止まるってこんな感じ?止まったのはわたしの頭の中だ。
どうやったら、今の保存出来ますか?
でもね、大野智だよ…
返事は?って感じで顔をのぞかれる。
「正直に言うと、怖いです」
「うーん、何が怖い?」
「分からないです…」
「じゃあ、分からないこと怖がるより、とりあえず一緒に2人の時間を楽しもうよ。オレら同じようなこと考えてんだし」
優しく笑って大野くんが言う。
その通りだ…
もっと、一緒に居たいから。
「はい」
って言うのが精一杯。
「ん?返事それだけ?」
あ…言わなきゃダメだよね
「大野くんが好きです」
あ、言ってから気づいた…
少し間があって
「んん? 今“くん”て言った!!」
え、そこ?嬉しそうにしてる理由は。
大野くんが腰を上げたから、立ち上がるのかと思ったら___
そのまま、どんどん近づいてきて、優しく軽く、そーっと唇が触れた。
呆然とするわたしだけど、一緒に笑っちゃった。
「まんまじゃん」
「そのまんまですね😊」
さっきのシュークリームの甘い香りでいっぱい。って言うか甘さそのままだった…